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リクルート事件・江副浩正の真実  江副 浩正


前の職場から、現在の職場に転職する時に、漠然とリクルートの海外拠点に入社するというイメージだった。

社内のシステムや業務のオペレーションなども所謂、日本のリクルートのやり方で、統一されているものだと思っていた。


実際はリクルートが買収した日本にある外資系エグゼクティブ・サーチファームのやり方がメインの会社だった。


もちろん、リクルートの海外展開ブランドではあるので、全く関わりがないわけではなく、一部の経営層は日本のリクルートの役員を兼任しており、偶にシンガポールに来る。買収が多くなかなかPMIが難しい部分もあり、経営陣は色々苦労もしているようだ。


今年度からブランドも統一化して更にグループとしてのプレゼンスも出していくようだ。


さて、そんな中、今回の本は「リクルート事件・江副浩正の真実」である。リクルートといえば、「リクルート事件」である。私が小学校低下学年の時に良くテレビで見たあの事件である。子供だったので、何のことかさっぱりわからなかったが、竹下内閣の退陣は覚えている。


正直、今回この本を読むまでは「リクルートが贈賄をして、捕まった」というレベルの知識であった。なので、リクルートと聞くと贈賄をした悪い会社というイメージがやや先行していた。


実際、読んでみると創業者の江副さんは非常に繊細な方だなぁという印象が強く、且つ真面目で自ら進んで私利私欲のために、贈賄をやるような感じの人ではない(ほぼ見返りを求めていない)という感じがした。


未公開株が賄賂として渡されたという事件だったが、実際、江副さん本人はそういった意識がなく、譲渡しており、この点での検察や世間との温度差がかなりあったように感じる

また、当時の大手証券会社などの幹部は、企業が上場するときに公開前の株を持ってもらうこと自体は常識だった言っている。


検察側も贈賄の立証にかなり時間をかけたようで、そのくらい立証が難しい状況だったようだ。


印象深かったのが、「国会で未公開株譲渡問題を追及していた社民連の衆議院議員楢崎弥之助がコスモス株の譲受人名簿を提出するようリクルートに要求した際に、リクルートコスモス社長室長を介しリスク管理の専門家としてリクルートに入社した田中辰巳(現・株式会社リスクヘッジ代表取締役社長)が楢崎の要請は金銭の要求だと強く主張、これを受けリクルート常務がコスモス社社長室長に楢崎との接触を指示。


楢崎が翌日に予算委員会の質問を控えた84日以降、コスモス社社長室長は手心を加えるよう赤坂の議員宿舎や福岡の自宅まで何度も押しかけ贈賄を提案。」

やがて、これが世間に出てしまうという最悪の結果になる。


普通に考えると「なぜにこの期に及んで贈賄するのか?」となるが、この状況は非常に今のインドネシアの状況に似ていると感じた。


インドネシアは賄賂社会なので、相手が賄賂を要求している空気を読み取ってスムーズに渡すということがかなり重要になり、ビジネスやそれ以外でも重要になってくる。(もちろん、今はジョコ・ウィドド大統領が頑張ってなくそうとしているが、現状はまだ難しい状況だ。)


リクルート事件の時代では、まだ日本もそういった文化があったのだろう。ということは、インドネシアも数十年後には大分良くなるんだろうか。

 

また、拘置所へ収監されてからの検事の取り調べが、パイプ椅子を蹴ったり、土下座させたりとかなりエグい。しかも、かなり司法取引も多く、嘘の調書への署名をする代わりに執行猶予にしてやるとか、昔の取り調べは密室で大分、やりたい放題だったようだ。


結局、判決として懲役3年執行猶予5年となったが、13年もの年月がかかったという、なかなかの効率の悪さであった。


裁判終了後、何年か経って以前自分の担当検事だった人間とオペラの会場で会うのだが、普通に話して、「検察側も大変だったんだなあ」という感想を述べているが、こういった点からも江副さんはかなり人が良いんだと感じた。


リクルートが求人広告媒体ビジネスなどで当時に急激に伸びており、今で言うベンチャーのような会社で、勢いがあり、他の業界やマスコミ、世間などから余り良くは思われてはなかったところに、未公開株の話が出て来て、マスコミなどの過激な報道及び、当時の消費税案導入を遅らせるために野党が大分大きく取り上げ、このような大きな事件になったようだ。


この点は、以前ライブドア事件で捕まった、ホリエモンやインサイダーで捕まった村上世彰にも似たところがあるような気がした。時代の寵児的な人たちは、日本ではある程度、世間やマスコミなどの空気を読まないと大変なことになってしまうようだ。


2013年に76歳でなくなっているが、きっと面白い人だったに違いない。もう少し早く知っておきたかった人物だ。





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by singapore2012 | 2018-04-05 01:06 | 本の紹介